育毛剤の種類は、市販・皮膚科処方の薬を合わせると沢山あって分からなくないですか?
一般的に育毛剤というと「髪の毛を生やす効果がある」と思いがちですが、実は正確には違いがあります。
正確には、髪を育てる「育毛」と新しい髪を生やす「発毛」の2種類があるのです。
新しい髪を生やす発毛させる「発毛剤」は、医薬品として医師の処方が必要な薬か、OTC・薬剤師の処方が必要な薬です。
髪の毛を育てる効果がある「育毛剤」は、医薬部外品として髪の毛が育つ効果が認められた成分が入っている薬です。
発毛剤と育毛剤は、似ているようですが、医薬品と医薬部外品は大きな差があります。
発毛剤は髪の毛が生えるという明確なデータがあり、効果がハッキリ分かっている、医学的な根拠がある薄毛改善の薬です。
育毛剤は、髪の毛が伸びる、頭皮の血行を良くするといったデータのみで、新しい髪の毛が生えるところまで言えない薬なのです。
市販の育毛剤の中には、効果がハッキリしないのに、3ヶ月で髪の毛がフサフサになった(個人の感想)といった宣伝をしていて紛らわしかったりします。
そこで、ここでは育毛剤・発毛剤の種類の違いについて、ご紹介します。
育毛剤の種類は?市販で購入出来る薬と皮膚科処方の違いとは
育毛剤の種類には、育毛剤・発毛剤と大きく2つ分類があり、さらに薄毛の原因に対して4つのタイプがあります。
もう一度整理すると、育毛剤と発毛剤は次の違いがあります。
- 発毛剤
新しい髪の毛を生やす効果が医学的に認められたもの。成分は、ミノキシジル・フィナステリド・デュタステリド等。 - 育毛剤
髪の毛を育てる効果が認められた成分が入っているもの。新しい髪の毛が生える効果は言えない。成分は、センブリエキス、グリチルレチン酸2K、にんにくエキス、百薬師エキス、Dパンテノールなどがあります。
薄毛の民間療法から科学的なアプローチのあるものまで様々ある。
さらに、薄毛になる原因としては、悪玉男性ホルモンによる薄毛(男性型脱毛症:AGA)、頭皮の血行不良、髪の毛を作る毛母細胞の不活性化などがあります。
<薄毛の原因別 育毛剤の種類>
- 悪玉男性ホルモン抑制タイプ
悪玉男性ホルモン(DHT)を減らすことで、男性型脱毛症(AGA)の根本原因からアプローチする方法です。
DHTを減らせば、毛母細胞が正常に働くようになり、髪の毛が太く丈夫に育つようになり、抜け毛・薄毛が改善します。
女性の薄毛が少ないのは、女性ホルモンのおかげで、女性も40代以降女性ホルモンが減ると、男と同じようにDHTによる薄毛になりやすくなります。
男性ホルモンを抑制するタイプの薄毛治療薬は、フィナステリド(商品名:プロペシア、ジェネリック薬名:フィナステリド)が最も効果が高いです。フィナステリドは医師の処方が必要な薄毛薬です。
他にDHTを抑える効果がある成分には、スピロノラクトン、サイプロテンプロアート、ジエチルスチルベトロートなどがあります。
AGAの場合、DHTによる脱毛が起きることが根本原因になっているため、発毛剤・育毛剤で髪の毛をいくら育てても意味がないです。DHTを減らす根本原因からアプローチをしないと育てるよりも抜けるスピードが早いので、薄毛は一向に改善しないことになります。
- 毛母細胞活性化
髪の毛を作る毛母細胞を活性化することで、髪の毛の生産力を上げて薄毛を改善アプローチです。
悪玉男性ホルモン・DHTが増えたり、頭皮の血行が悪くなると、毛母細胞の働きが悪くなります。働きが弱い毛母細胞から作られる髪の毛は、細くやわらかい髪しか作らなく、長く育ちにくく、すぐに抜けやすいです。
そこで、毛母細胞に刺激を与えて、丈夫で元気な髪の毛を作らせます。
効果が高い成分としては、塩化カルプロニウム、アデノシン、t-フラバノンが一定の効果が日本皮膚学会で認められています。
他には、ペンタデカン酸グリセリド、カミツレ花エキス、サイトプリン、プラセンタエキス、D-パンテノール、アルニカエキスと言った成分が育毛剤に使われています。
- 血行促進タイプ
薄毛になる方のほとんどは、頭皮の血行が悪くなっている事が多いです。
そのため、頭皮の血行不良を改善して、髪の毛の根本にある毛乳頭に血液の栄養が多く届くようにします。毛乳頭の代謝を良くすることで、毛母細胞を活性化させ、髪の毛の生産を多くさせるのです。
効果が高い成分としては、ミノキシジルで、日本皮膚学会で高い評価をしています。
頭皮の血行を改善する成分は、多くは漢方などからの生薬成分が多いです。トウガラシエキス、にんにくエキス、ショウキョウチンキ(生姜の成分)、センブリエキス、百薬師エキスなどがあります。
- 皮脂抑制タイプ
男性の頭皮は皮脂が多く、フケや頭皮の炎症をおこすことで薄毛が進行する方がいます。
皮脂が多いだけでは、薄毛にはなりやすいとは言えないですが、AGAの方が一緒に皮脂過剰になっていると、フケや痒みの炎症・脂漏性皮膚炎(しろうせい・ひふえん)が起きて髪の毛が抜けて薄くなる方も多いです。
脂漏性皮膚炎は、頭皮にいる常在菌と言われる細菌のバランスが崩れ、水虫菌の仲間である真菌・マラセチア菌といった細菌が繁殖し、頭皮をボロボロにしていきます。生え際などにウロコ状の皮膚片(鱗屑・りんせつ)が出来たり、顔の頬などにも赤みが出る方も多いです。
皮脂の抑制・炎症の沈静化成分としては、グリチルレチン酸ジカリウム、硫黄、レシチン、ジンクピリチオン、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノール、ビタミンB6などがあります。
脂漏性皮膚炎になった場合は、皮膚科で治療をおすすめしますが、すぐに治りづらい皮膚炎症で、早めの対処が重要になります。
- 発毛成長因子タイプ
最近の育毛剤の多くは、独自の発毛成長因子(グロースファクター)を加えた育毛剤を入れている製品が多いです。
発毛成長因子とは、毛母細胞を活性化させることに近いですが、髪の毛を作るために必要な細胞の代謝・細胞分裂を加速させるスイッチを入れる成分です。
成長因子の種類によって、活性化する細胞のスイッチが異なり、いくつかの種類があります。
<主な成長因子(グロースファクター)>
- KGF:ケラチノサイト成長因子
- IGF-1:インシュリン様成長因子1
- IGF-2:インシュリン様成長因子2
- bFGF:ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子
- VEGF:血管内皮細胞増殖因子
- Thymosin-β4:チモシンβ4成長因子
発毛成長因子は、沢山入っていればいいという訳ではないです。育毛剤に発毛成長因子がある場合は、頭皮の奥までターゲットの細胞に届かないと意味がないです。
そのため、発毛成長因子は、育毛剤より、メソセラピー(頭皮注射:頭皮に成長因子を注射する方法)の方が効果を実感しやすいかもしれません。
最近の育毛剤は、1つの効果のある成分を入れるだけでなく、複数の効果を持った成分をブレンドする事が多いです。
ただ、成分を沢山入れても、効果が高いわけではないです。効果がビミョーな成分を沢山いれるよりも、1つでも効果が高い成分を使うことが大事です。
AGAの場合は、悪玉男性ホルモン(DHT)が原因とわかっているので、DHTを抑制するフィナステリドを中心とした治療を進めるのがよいですね。
薄毛の原因を対処する成分を持っている発毛剤・育毛剤を使うことが大事です。
ウッチャンより一言
- 育毛剤の種類は、発毛効果がある発毛剤と髪の毛を育てる育毛剤で違いがあるので注意
- 男性型脱毛症の場合、DHTが原因のためフィナステリド等の男性ホルモン抑制をするのが薄毛改善に重要
- 育毛剤の成分の種類は、沢山種類があるよりも、効果が高い成分が入っていることが大事